Sunrise @ Mauna Kea

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Quote of the Day

2009年8月16日日曜日

Cloud

夏といえば入道雲のイメージがありますが、目にする機会がなぜか少なくなってしまっているような気がします。風景がいつのまにか変わってしまったのでしょうか..

雲といえば、ITの世界ではクラウド・コンピューティングが最近のバズワードになっているようです。

背景には、Web2.0以降のネット環境があたりまえのように世界に普及していることがあるのでしょう。ブラウザを通して、さまざまなアプリケーションをほとんど制約なく開発・利用できる地平が開けたことにより、それ以前、せいぜいページめくりのイメージしかなかったブラウザを通してのコンピュータ利用に、制約がなくなったということです。梅田望夫さんの「ウェブ進化論」(2006)は、まさにその世界の可能性に目を開かせてくれました。

日本においては、そのソフトウエアの側面よりは、データセンターなどハードウエアの側面に関心が偏っているような印象がありますが、Google、Amazon、Salesforceをみていると、ソフトウエアの発想が原点にあり、結果的にそのための必要条件として、何十万台ものサーバ群をネットの向こう側において、あたかもひとつのコンピュータが動作しているようにみえるスタイル(..ちなみに世界最初のコンピュータといわれているENIACはたった2万本弱の真空管!からできていてそれでも倉庫1個分のスペースを要したそうです!!..)を、オープンソース/自社開発およびその組み合わせで実現した(オープンソース寄りか否かの差はその3社のなかでも違いはありますが..)のではないかとおもいます。

そういう意味で、クラウド・コンピューティングをソフトウエアの観点からみると、ネットの向こう側にある、データセンターのハードウエアは、それを動かすための資源であって、その要件に応じてスケールアップないしはスケールアウトできればよいものといえるでしょう。

果たして、メインフレームからオープン化の世界の潮流にも大きく立ち遅れた感のある日本において、クラウド・コンピューティングは普及するのでしょうか。

それでも日本の先進性についていえば、インターネットの通信インフラが、世界最先端の水準にあるということです(これは経企庁長官もなされた堺屋太一氏と民間の孫正義氏の貢献が大なのではとおもっています)。いわゆるラストワンマイルボトルネックを日本は世界で一番解消しているということなのです。ここでも、ハード整備が先行している感は否めませんが、個人としてネット利用している日々の実感を裏づけています。

この恵まれたネット環境をそれ以上に生かせるかどうかの鍵は、ソフトの発想にあると確信しています。


一方、1998年に発刊された「ボランタリー経済の誕生」金子郁容・松岡正剛・下河辺淳・他は、21世紀の日本の経済社会環境へのビジョンを示す書物として、ずっと気になっているもののひとつなのですが...

そこに示されたような、【個人(司馬遼太郎に気づかせてもらった日本の誇るべきルーツ「名こそ惜しけれ」)の、一所懸命的コミットメントのある】自発性にもとづく、これまでの企業モデルになかったような、多様な事業活動、を支えるIT基盤として、クラウド・コンピューティングが、そのような"ソーシャル・スピリット"をもつ人々の味方になってくれるテクノロジーとなることを願っています。さらに、オープンソースの潮流が、その環境をグローバルに支えてゆくことになるとおもいます。